液状化

 地震に伴って地盤がひき起こす現象の一つに液状化と呼ばれるものがある。液状化は1964年の新潟地震で注目を集めた。このときは鉄筋コンクリートのアパートが何棟か、ゆっくり時間をかけて斜めにひっくり返った。また、泥砂が噴出して砂山がつくられたり、県や市の境界標柱が突き上げられた場所がたくさん見られた。地震後の調査の結果、原因は地盤の液状化ということになった。

 地震に伴う液状化は新潟が初めてというわけではない。関東大地震でも多くの場所で噴砂の報告があるし、古くは弘化4年(1847)善光寺地震では噴砂の記録とともに、数箇所で石油が噴き出して、しばらくは煮炊きに使ったという話や絵が残されている。これも液状化に伴ったものであろう。

 液状化が起こる地層は、適当な厚さの砂と地下水とで構成されている。固体の砂と砂との接触と、その間隙を埋める地下水の水圧とが釣り合って、一応安定した形態を保っているが、強い地震動で平衡が崩れ、いわば水の中に砂粒が浮いた状態になるのが液状化である。泥砂の噴出は釣り合いの圧力が開放されたことによる。

 結果から見ると、しかし、河川がつくった堆積地盤は、地震のたびに次第に固められていく。関東大震災における家屋倒壊率が、江戸開府のころの埋立地と維新後の埋立地とで大差が現われたのは、300年と30年のエージング、つまり経年安定化の違いである。測量の世界でも標石を埋めたり、いろいろとお世話になる地盤である。こういう目で選点に注意してみることも必要であろう。

LinkIcon(社)日本測量協会発刊 月刊「測量」より抜粋