宇宙・コスモス・空間

 最近の宇宙技術は日進月歩である。宇宙技術はspacetechnologyに当たる言葉で、測地測量の世界では、パジオス、あじさいなどの受動型測地衛量、NNSSやGPSの能動型の航行衛星、月面反射鏡による月のレーザー測距、クエーサーまたは準星と呼ばれる天体からの電波を利用する超長距離基線干渉法いわゆるVLBIなどを総称して宇宙測地と呼んでいる。宇宙測地にはspacegeodesyを当てる。

 宇宙に当たる英語は昔からuniverseかcosmosであった。形容詞としてのuni−versalには、宇宙の、万有の(万有引力)、全世界の(世界時UT)、全般的な(総合大学)、万能の(万能経緯儀)などの意味があるが、最初にでる「宇宙の」はあまり使われていない。      

 コスモスはギリシャ語のKOSMOSが語源で、秩序整然とした一体としての、完全体系の、統一的な、調和のとれた「宇宙」の意味である。天地創造説、宇宙論、宇宙塵のほかにコスモポリタンなどの使い方がある。

 最初の日本語に見られる宇宙の語源は、ほとんどspace かastroである。たとえば宇宙船は、spacecraft、宇宙飛行士はastronautかspacemanの訳語である。この場合のspaceはコスモスとしての宇宙ではなくて、人間の技術が及ぶ範囲の空間という意味合いで、つまり「宇宙空間」を「宇宙」に簡略化したものと解釈すべきであろう。宇宙測地には人間の技術が及ばない銀河系外のクエーサーからの電波も登場するが、われわれの技術は惑星を含む地球主体の空間に限られている。

LinkIcon(社)日本測量協会発刊 月刊「測量」より抜粋